【体験談】サブコン設計職からフリーランスの建築CADオペレーターへ!時間に追われない働き方とは?


終電ギリギリまで残業、満員電車での通勤……

働く時間も内容も、自由に決められたらいいのに……
建築業界で働く中で、こうした日常に疲れを感じたことはありませんか。
今回お話を伺ったシャッハさんも、かつては建具専門のサブコンで設計職として働き、忙しい日々を送っていました。
しかし今は、フリーランスのCADオペレーターとして、自分のペースで働く毎日を手に入れています。
今回は、シャッハさんの率直な体験談から、フリーランスの建築CADオペレーターとしての働き方を紹介します!

シャッハさん プロフィール

高校・大学の7年間で建築を学び、建具専門のサブコンで4年間設計職として勤務。
コロナ禍をきっかけに働き方を見直し、フリーランスのCADオペレーターとして独立。現在は設計事務所やハウスメーカーをクライアントに、平面図・立面図の作成やプランニング業務を行う。
趣味のBlenderを活かした3Dモデリングも手がけ、メタバース空間の制作にも挑戦中。
話を聞いた人:建築CADオペ:コハク(2025年10月)
東京のサブコンで建具の施工図を経験したのちフリーランスに

――現在のお仕事内容と働き方について教えていただけますか?
シャッハさん:現在はフリーランスのCADオペレーターとして、Jw_cadを中心に図面作成を担当しています。
主な取引先は設計事務所とハウスメーカーです。平面図・立面図の作成に加え、プランニングもしています。
例えば、規格住宅の「モジュールユニット」を組み合わせてプランを組み立て、基本計画から実施設計までを対応する業務などです。
――フリーランスになる前は、会社員として働いていたんですか?
シャッハさん:約4年間、鋼製建具専門のサブコンで設計職として働いていました。
商業施設やマンションなどの集合住宅、病院、物流倉庫といった大規模施設を手掛けている施工会社です。
防火扉やシャッターなど耐火系の建具、それに一般的な窓、玄関ドアといった建具の設計を担当していました。
物流倉庫の物件などでは、窓やドアの図面を100〜200枚規模で設計していたんです。
会社員からフリーランスの建築CADオペレーターへの転身を決めたきっかけ

――独立しようと思ったきっかけを教えていただけますか?
シャッハさん:一番は、やはりワークライフバランスです。
建設業界全体でよくあることだとは思うのですが、どうしても残業や休日出勤が多くて。
次第に、在宅でできる仕事なのに通勤しなければいけないことに違和感を感じるようになりました。
当時、コロナ禍の東京に住んでいたので、いろいろと息苦しくなってしまって独立へと踏み出しました。
――確かに、図面を描いたり設計する仕事は自宅でもできますもんね。フリーランスとして独立する前に、どんな準備をされましたか?
シャッハさん:当時、社内に図面を描くCADオペの方もいらっしゃったので、お話を聞いたり、実際に業界で個人に求められているものを自分なりに調べました。
具体的には、クラウドワークスやランサーズ、ココナラといったエンジニアと企業をつなぐプラットフォームを見て、どんな案件があるのか、どのようなスキルが求められているのかをリサーチしたんです。
――ソフトの準備などはどうされましたか?
シャッハさん:とりあえずは無料のJw_cadをメインに据えました。ただ、直近の募集ではAutoCADよりVectorworksを要件とする案件が目立ちます。
報酬単価も高くなるイメージがあるので、しっかりと独立を考えるのであれば、Vectorworksに触れておくか、導入しておく方が良いと思います。
CADの導入は、必要経費です。私はもともと趣味でパソコンを持っていましたが、パース用のソフトなどは一通り揃えました。
建築図のCADだけでなく、3Dモデリング制作も

――シャッハさんは建築図をCADで描く他に、趣味を活かしたお仕事をされているとか?
シャッハさん:はい。趣味で『Blender』という3DCGアプリケーションを使っているんですが、それを活かして3Dモデリングの仕事も請けています。
具体的には、VRなどで使われるワールドや背景などのモデリングを制作しています。
先日も、図面から3D上で使える部屋や建物を作って納品しました。
——メタバースというのは、具体的にどんなものなんですか?
シャッハさん:メタバースとは、バーチャル空間に自分の分身(アバター)で入って、その中を歩き回れる世界のことです。
私は「Blender」と「Unity」という3DCGソフトを使って、その空間の建物や部屋を作っています。
最近は動画やネット記事もたくさんあるので、調べれば作り方はすぐに見つかりますよ。
——どんな風に作っていくんですか?
シャッハさん:建築模型を作る感覚に近いです。1から柱を立てて建物を作ったり、既製品のパーツを組み合わせたり、色をつけたりして空間を完成させます。
それを公開すると、他の人がアバターで中に入って、ゲームのように歩き回って見てもらえるんです。
趣味が武器になったゼロイチの実績作り

――最初の仕事はどうやって獲得したのでしょうか?
シャッハさん:趣味で作っていた3Dワールドのデータをポートフォリオとして提出したのが大きかったです。
3Dでパースも作れますし、実際に「この図面からこういう3D空間ができあがります」という完成イメージを視覚的に示せたので。
図面を描くだけでなく、3Dのパースで立体的に見せられるスキルをアピールして、無事に最初の案件を受注できました。
――その案件で評価をもらえたことが、次につながったんですね。
シャッハさん:はい。星5のMAX評価をいただいたので、「実際にちゃんと仕事ができる人」という評価をもらえました。
その後は、案件を獲得しやすくなった感覚があります。
建築CADオペレーターのフリーランスになってからの収入と働き方の変化

――収入面の変化はありましたか?
シャッハさん:正直に言うと、収入は下がりました。
ただ、家賃が東京の方は今住んでいるところの倍くらいかかっていたので、諸経費を引くと手取りとしてはあまり変わりません。
今は東京を離れて、地元で一人暮らしをしています。
――働き方やメンタル面での変化はどうですか?
シャッハさん:時間に追われなくなったことは本当に大きいです。
短時間に集中して一気に進められて成果も見えやすく、働いた分だけお金になるのは、自分に向いていると思います。
建築系業種でのフリーランスならではの魅力と課題

――独立して感じた、フリーランスならではの魅力は何ですか?
シャッハさん:やはり、時間の面が一番の魅力です。
建設業だと、朝早い時間に起きたり打ち合わせで遠方まで呼び出されたりすることが多いと思うんですが、そういったことがほぼなくなりました。
基本的にインターネット上で完結して在宅で終わるので、気が楽です。
それに、人間関係のストレスもなくなりました。
建築業界にはよくあることだと思いますが、前職では派閥争いや人間関係のトラブル、飲みニケーションなども避けられませんでした。
それはそれで楽しかったこともありますが、出費や時間を取られていたんです。
通勤時間も満員電車からも解放されました。働く時間が自由というのは、本当に大きいですね。
――フリーランスになって一番大変だったことは何ですか?
シャッハさん:一番は、自分で仕事を探してこなければいけないことですね。
会社の後ろ盾がないので、自分の実績のみで仕事を探さなければなりません。
それと、税金関係や確定申告などもフリーランスになると発生します。
ただ、今はクラウドワークスのサービスにも手続きのガイドやサポート情報もあり、調べれば解決することも多いため、そこまで心配してはいません。
会計ソフトなどもあるので、活用していけると思います。
独立を考えている建築設計職やCADオペレーターの方にアドバイス

――建築のCADオペレーターとしてフリーランスで働きたい人へ、アドバイスをいただけますか?
シャッハさん:需要として多いのが、インテリアコーディネーターの資格を持っている方です。
資格の多い業界なので、資格やライセンスがあると強みになります。
応募するときに資格があるだけで信頼の証になるので、取れる環境であるならば、ちょっと苦労してでも資格を取ってから独立を目指した方が良いと思います。
インターネット上では個人のお客様もいるので、一目でわかりやすく「この人は建築系のプロなんだな」と伝わるのは大きいです。
建築の枠を超え、メタバースという新しい世界への挑戦

――シャッハさんの今後の目標を教えていただけますか?
シャッハさん:今後は、安定したクライアントさんとつながって自分のポートフォリオを充実させていきたいですね。
大型の物件にも携わって「自分が設計に関わった」と誇れる、地図に残る仕事をしていきたいです。
——最後に、メタバース関係のお仕事についても目標を教えてください。
シャッハさん:3Dモデリングの方では、自分が作った建物やワールドが評価されて、話題に上がるクリエイターとして名を残せたらいいなと思います。
――建築の知識やスキルは、メタバースの領域でも活かせるんですね。本日は貴重なお話をありがとうございました。
時間に追われる働き方から解放されて、自分のペースで仕事ができるようになったこと、そして趣味を活かして新しい分野にも挑戦されている姿が印象的でした。
今後のシャッハさんのご活躍を楽しみにしています!


