【体験談】「沖縄に住みたい」国内移住を実現した女性建築士に話を聞いてみた


憧れの場所で暮らしてみたい

でも転職と移住を同時にするのって、勇気がいるな……
そんな風に、理想の暮らしを先延ばしにしていませんか。
設計は専門職だからこそ、場所を選ばず働けるはずです!

設備設計や意匠設計といった設計職は、専門性があるからこそ、働く場所の選択肢を広げやすい仕事でもあります。
そこで今回、建築アンテナでは、設備設計の経験を活かして沖縄への移住と転職を実現し、現在は意匠設計職として働くyamaさんに、転職や移住を体験してみて感じたリアルな本音を伺いました。
沖縄移住に限らず、「いつか好きな場所で働きたい」と考えている方の背中を、そっと押してくれるはずですので、ぜひご一読ください。

yamaさん プロフィール
大学で建築系デザイン学科を卒業後、福岡で設備設計職としてキャリアをスタート。
その後、プレハブメーカーでCADオペレーターとして勤務しながら二級建築士を取得。
福岡から沖縄の設備設計事務所へ転職し、2年間滞在。
地元に戻ったのち、設計事務所で意匠設計を担当。
一級建築士の資格取得に挑戦中。
話を聞いた人:建築CADオペ|コハク(インタビュー実施時期:2025年10月)
女性1人の設備設計の職場で感じた違和感──CADオペレーターへの転身

──設備設計をされていたんですよね。私も前職が空調の設備設計をしていたので、とても親近感があります。どのような設備を手掛けていましたか?
yama:空調設備と衛生設備です。計画から実施設計、現場の設計監理まで行っていました。
──特に女性だと設備設計は少ないと思いますが、どのような職場環境だったのでしょうか。
yama:当時の職場は30人ほどいる中で女性が私1人だけだったんです。
その中で会社の人に「結婚して子どもを産んだら働けないよ」みたいなことを言われて、働きづらさを感じることもありました。
次第に「この職場でこのまま働き続けて良いのだろうか」とモヤモヤする気持ちが強くなっていったんです。
また、組織の規模も、もう少し小さいほうが自分には合っていて居心地が良いのではないかと感じていたんです。
──それで転職されたんですね。
yama:はい。次はプレハブメーカーでCADオペレーター職に就きました。
学校の仮設校舎や店舗の軽量鉄骨の図面を描く仕事です。
時間的には働きやすかったんですが、やはり設備設計をしたいという気持ちがあったこともあり、転職を決めました。
──その間に二級建築士を取得されたとか?
yama:はい、そうです。転職に有利かなと思って、独学で勉強して取得しました。
参考書を買って勉強して、学科、製図と割とスムーズに取れました。
資格手当もつきますし、面接でも聞かれるので取っておいて良かったです。
独学で二級建築士を取得、そして沖縄へ移住

──その後、沖縄に転職されたとか?
yama:そうです。正直に言うと、単純に沖縄に住みたかったんです(笑)。
海が好きで、ダイビングが趣味なので。
福岡でダイビングのライセンスを取っていて、沖縄で仕事をしながら週末は海に行く生活に憧れていました。
──すごい行動力ですね!確かに、手に職があれば、どこでも転職先を考えられますよね。どうやって転職先を探したんですか?
yama:ビズリーチ、リクルートエージェント、マイナビなど、有名な転職サイトにはほとんど登録しました。
最終的に使ったのはマイナビです。
幸運なことに、就職先はあまり苦労せずに見つかりました。
──面接はどうやって受けたんですか?
yama:福岡から日帰りで面接に行きました。
朝出発して午後に面接を受け、その日のうちに帰ってくるスケジュールです。
先方の担当者も「福岡から来たの?」と驚いていました。
実は半年前に面接を受けていて、前職を退職するタイミングに合わせて入社という形で調整したんです。
その間に住居を探したり、引っ越しの準備をする時間の余裕はありました。
沖縄は住みやすく、海も綺麗で理想の働き方ができました。
理想の沖縄生活と意匠設計への想い

──そこから2年後に、福岡に戻ってこられたんですね。
yama:沖縄では、平日は設備設計の仕事をしつつ、週末は海に潜る生活で、とても充実していました。
ただ、働く中で次第に意匠設計も経験してみたいと思うようになったことがきっかけです。
設備設計をしていると、意匠設計との間で意見がぶつかることが多くあります。
意匠設計の段階で設備のことを考慮せずに設計されると、後工程で困ることがあります。
設備と意匠の両方の視点を持てるようになりたいと考えたので、次は意匠設計の職場を探しました。
ただ、沖縄では大手コンサルが1社と、個人事務所や東京の会社の支店などが主で、なかなか希望に合う転職先が見つからなかったんです。
また、元々2〜3年で地元に戻ろうと考えていたこともあります。
沖縄ほど綺麗な海ではありませんが、福岡でもダイビングには行けています。
福岡で意匠設計に転職、転職で大切にしてきたこと

──福岡に戻ってからのキャリアを教えてください。
yama:現在の設計事務所で意匠設計を担当しています。
小規模の個人事務所で、意匠設計から実施設計、現場管理まで幅広く担当しています。
最近は学校や公民館などの改修工事が多いですね。
個人的には大人数の会社よりも少人数の方が合っていると感じていたので、規模感にも着目しました。
今の事務所は5〜6人で、ちょうど良い規模感です。
──収入面での変化はありましたか?
yama:次の仕事では収入が下がらないようにと意識してきたので、転職のたびに年収は上がっています。
──達成できていて素晴らしいですね。今後の目標を教えてください。
yama:現在、一級建築士の資格取得に向けて独学で勉強しています。
今年も受験しましたが、学科試験で不合格でした。
一級建築士を取得して5年間設備設計の実務経験を積み、設備設計一級建築士の資格を取得したいと考えています。
──設備設計一級建築士は希少性の高い資格なので、キャリアの幅が広がりそうですね。
転職や移住を迷っている人へのメッセージ

──これから転職や移住を考えている方へアドバイスをお願いします。
yama:行きたい場所があるなら、挑戦した方が良いと思います。
日本国内であれば言葉も通じますし、環境が大きく変わるわけではないので、そこまで構える必要はありません。
実は沖縄には旅行で何回か行ったことがあったぐらいで、土地勘もあまりなかったんです。
実際に体験してみて感じたのは、思っているほど移住は怖くありませんし、不便に思うこともありませんでした。
──確かに外国ではないので、これまで学んだ建築の知識や法規も免許もそのまま使えますしね。手に職がついていれば、働く場所は選ばないことに気付かされますね。
──今後は、どんな風に働いていきたいと考えていますか?
yama:実は結婚する予定があり、福岡に住み続けるかは決めていません。転居先で仕事を探すことになるかもしれないと考えています。
まずは一級建築士に合格してから、次のステップを考えたいと思っています。
──沖縄と福岡の両方で設備と意匠のキャリアを積まれてきたからこそ、これからどこに住むことになっても、yamaさんらしい働き方を選んでいけそうですね。
本日は貴重なお話を聞かせてくださりありがとうございました!


