【実体験】フリーランスのCADオペレーターがメリット・デメリットと年収について解説
フリーランスは、時間や場所にとらわれず、自由に働ける働き方です。設計職やCADオペレーターとして働く中で、働き方を変えたいと思うも多いかもしれません。
CADオペレーターってフリーランスになれるの?
どんな働き方?安定性あるの?
といった疑問を持つ人も多いでしょう。
フリーランスで建築CADオペレーターやってます!
住宅設計→設備設計の補助→建築CADオペレーターとして独立しました。
そこで今回は、現役のフリーランスのCADオペレーターが、仕事内容や年収・フリーランスのメリット・デメリットを解説します。
CADオペレーターはフリーランスとしてやっていける?
身近にロールモデルがいないと、CADオペレーターはフリーランスとしてやっていけるのか疑問に思う人もいるでしょう。
厚生労働省の統計情報によると、正社員が67.3%と最も多いものの、自営・フリーランスで就業しているCADオペレーターは14.5%。
同データによる全国のCADオペレーターの就業者数は23万人であるため、3万3千人は自営業・フリーランスということになります。
結構、自営業やフリーランスで仕事している人は多いことがわかります。
個人の能力やスキル次第では、フリーランスでも充分働ける職業だとわかります。
出典:job tag 職業情報提供サイト(日本版O-NET)CADオペレーター|厚生労働省
フリーランスのCADオペレーターの仕事内容
フリーランスのCADオペレーターの仕事内容は、基本的に社員と変わらないことがほとんどです。
主に、設計者の指示のもと、建築の図面や完成予想図などを作図することです。
主な取引先は、建築CADオペレーターであれば建設会社や設計事務所などです。
また、近年は3D図面を描いて、設計や施工が妥当かを検討する業務を担うこともあります。案件によって業務範囲はさまざまですが、基本的には、設計者の設計を補助する形で、図面を描くのが主な仕事です。
私は手描きのラフ図を施工図にすることが多いため、設計をやっていたときの納まりや施工の知識もフル活用しています。日々勉強です!
フリーランスのCADオペレーターの報酬形態と仕事例
フリーランスのCADオペレーターの報酬形態は、主に上記の3つに分けられます。それぞれの働き方の特徴と実際の募集例を紹介します。
月額単価制
月額単価は、企業と月単位の稼働時間を決めて業務委託契約を結ぶ契約形態です。契約社員や派遣社員のような働き方ができます。
月額単価の求人情報の例1:リフォーム企業の図面制作
単価 | 〜400,000円/月 |
契約形態 | 業務委託 |
稼働時間目安 | 140時間〜180時間/月 |
業務内容 | マンション・アパートの店舗や商業施設の設計図面作成・修正・調整 |
求められるスキル | CADソフトでの実務経験 【歓迎スキル】建築業界の知識Jw-cad・Archicadの実務経験 |
*2024年3月3日時点の求人情報です。案件が終了している可能性があります。
月額単価の求人情報の例2:オフィス内装の製図作成
単価 | 〜400,000円/月 |
契約形態 | 業務委託 |
稼働時間目安 | 140時間〜180時間/月 |
業務内容 | クライアント打ち合わせ用のオフィス移転、実施設計 |
求められるスキル | AutoCADを用いたオフィス内装設計経験 |
*2024年3月3日時点の求人情報です。案件が終了している可能性があります。
こちらはCADオペレーターだけでなく実施設計の業務が含まれる求人募集例ですが、経験がある人は挑戦できる仕事です。
時給単価制
時給単価でのCADオペレーターのフリーランス案件は、ママワークスなどのクラウドソーシングサイトで業務委託の雇用形態で探すことが可能です。企業と時給単価を決め、業務委託契約を結びます。
月額単価の求人情報の例:公共事業の図面作成
単価 | 〜1,300円/時給(税抜) |
契約形態 | 業務委託 |
稼働時間目安 | 自由 |
業務内容 | Jw-cadを用いた公共事業の図面作成 |
求められるスキル | Jw-cadの使用経験 建築図面の実務経験 【歓迎スキル】建築関連の資格 |
*2024年3月13日時点の求人情報です。案件が終了している可能性があります。
「在宅OK」などの案件であれば、働く場所に捉われずに働けるのが魅力です。
出来高制
出来高制は、納品物に応じて報酬が決められている報酬形態です。
時間制ではないため、効率よく仕事ができれば、大きな報酬が得られる可能性があります。
クライアントとの報酬の取り決めも行うため、交渉術も必要になる形態です。
私は出来高制で取引先と契約しています!業務量が多い月は報酬は増えますが、逆も然りです。
出来高制の報酬単価例:建築図面の作成
単価 | 報酬 |
木造戸建て1〜3階 3Dパース図 | 25,000円/棟(税抜) |
RC造 平面図 | 10,000円/枚(税抜) |
RC造 立面図 | 8,000円/枚(税抜) |
集合住宅 平面図 | 13,000円/枚(税抜) |
フリーランスの年収とCADオペレーターの年収
フリーランスのCADオペレーターのみの年収を表すデータはありませんでしたが、フリランス協会の2024年のデータによる年収の割合は上記のグラフのとおりです。
200万〜400万円未満が多く25.2%、次いで400万〜600万円未満が17.8%ですから、この層がボリュームゾーンと言えそうです。
一方で、厚生労働省の統計情報によるCADオペレーターの平均年収は452万円。
CADオペレーター全体の年収と、フリーランスの年収はあまり変わらない人も多いかもしれません。
ちなみに私の建築CADの年収は250万くらいです!
私の場合は、他にもWebライターやブログの収入があるので例外かもしれません。フルコミットすれば、もっと稼げる職種です!
出典:job tag 職業情報提供サイト(日本版O-NET)CADオペレーター|厚生労働省
フリーランスは成果報酬型の働き方であるため、自分の働き方や案件獲得の仕方で年収が変わると言えそうです。
CADオペレーターがフリーランスになるメリット
CADオペレーターがフリーランスになるメリットには、主に以下の4つがあります。
- 働く時間が自由になる
- スキルや努力に応じた収入が得られる
- 人間関係に悩むことが少ない
- ライフステージの変化に対応しやすい
それぞれについて、詳しく解説していきます。
働く時間と場所が自由になる
フリーランスのCADオペレーターは、自宅だけでなくカフェや旅行中でも作業ができるため、働く時間や場所にとらわれることなく仕事ができます。
かつては、「3DCADを扱うならデスクトップのPCが必要」といわれていた時代もありましたが、近年はノートパソコンで動作する3DCADソフトはいくつもあるため、より場所に縛られることはなくなりました。
パースのモデリングも、ノートPCで問題なく動作するし、PCさえあればどこでも仕事ができます!
そのため、勤務地や時間の制限なく仕事ができます。
正社員とは異なり、出勤時間や退勤時間が固定されていないため、仕事の量に応じて自由にスケジュールを管理できるのが魅力です。
ただし、月額単価や時給制、出勤が求められる契約を結ぶと自由度はなくなるため報酬形態を選ぶ必要があるでしょう。
スキルや能力に応じた収入が得られる
CADオペレーターがフリーランスとして独立する主なメリットには、自身のスキルや能力に応じた収入を得られる可能性があることです。
フリーランスは、案件を選ぶ権利が自分にあるため、より高い報酬の案件に挑戦する、または自分の得意分野に特化した仕事を選ぶこともできます。
自分の技術力や専門知識が収入に直結するから、やりがいも感じられますね。
人間関係に悩むことが少ない
フリーランスとして活動する場合、特定の企業や団体には所属せず、主にクライアントとのコミュニケーションが業務の中心になります。
自分に合ったクライアントの仕事を選べるため、人間関係でのストレスが起こりにくいのが魅力です。
相性がよくないと思った人とは、仕事しないという方法もアリです!
会社員では、取引先や顧客だけでなく上司や同僚と良好な関係を築く必要があり、人間関係に起因するストレスが生じやすくなります。
また、毎日、会社の人と顔を合わせることもありません。
出社のある会社員と比べると、フリーランスは人間関係に悩みにくい働き方と言えます。
ライフステージの変化に対応しやすい
フリーランスのCADオペレーターは、結婚・出産・パートナーの転勤など、ライフステージの変化にも対応しやすい働き方です。
特に女性の場合、出産や子育てなどをしながら仕事をする場合、育休・産休の取得や勤務時間の調整は避けられません。
正社員や契約社員では、夫や妻の転勤に同行するために退職を余儀なくされることもあるでしょう。
会社員時代は、子ども関連の用事がある度に有休を取っていたけど、今は自由にスケジューリングしてます。
しかし、フリーランスであれば、自宅で仕事ができるため、生活の変化にも柔軟に対応できます。
また、子育てや介護といったプライベートの予定と仕事を両立させやすいため、さまざまなライフステージに合った働き方ができるのも魅力です。
CADオペレーターがフリーランスになるデメリット
CADオペレーターがフリーランスになるデメリットには、以下の4つがあります。
- 収入が安定しないことがある
- スケジュールの自己管理が必要
- 確定申告をする必要がある
- 社会保険料が自己負担になる
それぞれについて、詳しく解説していきます。
収入が安定しないことがある
フリーランスとしてCADオペレーターになるときのデメリットの1つは、収入の不安定さです。
正社員は、入社してしまえば毎月一定の収入が保証されますが、フリーランスの場合は仕事を確保できないと収入が得られないため、月によって収入が大きく変動することがあります。
私は取引先との契約で、安定的に仕事をもらってはいますが、それでも少ない月もあります。
案件の取り方によっては高収入を目指せる反面、収入の不安定さは避けられません。独立を考えているなら、事前に貯金するなどして備えておくことをおすすめします。
私はWebライターの仕事も並行しています。安定を求めるならCAD×Webライター、CAD×オンラインアシスタントなど、二刀流がおすすめです!
CADオペレーターの副業に興味がある方は、こちらの記事もぜひご覧ください。
スケジュールの自己管理が必要
フリーランスのCADオペレーターは、スケジュールの自己管理をする必要があります。
自由にスケジュールを管理できる反面、締切や業務量の調整・交渉も自分で行わなければなりません。
特に、多くの仕事を受けてスケジュールを見誤ってしまうと、期限内に業務が終わらずクライアントに迷惑をかけてしまいます。
信頼を失うと継続的な依頼がもらえず収入に影響を与えるため、自己管理スキルをつけることは大切です。
自分の可能な作業量を把握して、クライアントとスケジュール調整する必要があります。
確定申告をする必要がある
CADオペレーターを含む多くのフリーランスは、確定申告や経理作業を自分で行っています。確定申告は、時間と労力がかかるだけでなく、税務の手続きや法律、会計に関する基礎知識も必要とされます。
正直、確定申告は苦手。。。。!!
税務申告では正確さが求められるため、誤りが見つかれば、罰金や追徴税の対象になることもあります。
しかし、一方で、自分で会計簿をつけることは、コストに意識を向ける機会にもなります。
自分だけで確定申告をすることに不安を覚えたときには、税理士に相談する、代行を依頼するなどの方法をおすすめします。
社会保険料が自己負担になる
フリーランスのCADオペレーターとして働く場合、健康保険や年金が全額自己負担になるため、経済的な重荷になることがあります。
会社員とは異なり、健康保険は国民健康保険となり、勤務時に受けられる傷病手当や出産手当などのサポートがなくなります。
また、個人年金などを利用しない限り、将来受け取れる年金も国民年金の基礎部分のみとなり、受給額は減少します。
フリーランスになってから、お金について、すっごく勉強するようになりました。
そして、フリーランスは雇用保険や労災保険の恩恵を受けられないため、予期せぬ事態への備えとして貯金が必要になります。
また、個人型確定拠出年金(iDeCo)、小規模企業共済などを検討するのもよいかもしれません。
CADオペレーターがフリーランスとして独立するための5つのスキル
CADオペレーターがフリーランスとして独立するためのスキルには、主に以下の5つがあります。
- 営業スキル
- 得意分野の知識
- クラウドソーシングサイトの活用スキル
- 自己管理スキル
- 経理の基礎知識
それぞれについて、詳しく解説していきます。
営業スキル
フリーランスとしてCADオペレーターを目指す場合、営業スキルは非常に重要です。クライアントに対して積極的に営業活動を行い、新たな仕事を自分で獲得するためです。
そのため、CADができるだけでなくクライアントとこまめにやりとりしながら、自分と共に仕事をするメリットを、プレゼンする能力も必要です。
継続依頼を得るためにも、こまめにコミュニケーションをとることを意識してます。
得意分野の知識
CADオペレーターがフリーランスとして仕事を獲得するためには、CAD操作ができるだけでなく、得意分野の知識が必要です。建築設計であれば建築の知識、設備設計であれば設備設計など、分野に応じた知識は欠かせません。
得意分野を深めるのもよいし、新しい分野を開拓するのもいいね。
単純にCADで図面を描くだけではなく、設計者の意図を理解したうえで図面を書かなければならないためです。
また、納まりや施工の妥当性の検討が求められる案件も少なくありません。
これまでの経験を活かすとともに、新しい分野の仕事をするときにはその分野の知識を習得するために勉強し続けていく必要があります。
クラウドソーシングサイトの活用スキル
フリーランスとしてCADオペレーターを目指すには、クラウドソーシングサイトの活用スキルも大切です。
クラウドソーシングサイトとは、企業や個人が、Web上で不特定多数の人に業務を委託するためのプラットフォームです。
効率良く仕事を探すには、クラウドソーシングがおすすめです!
最近では、フリーランス専用のクラウドソーシングサイトが増えているため、プラットフォームを通じて業務委託の仕事を見つけられます。
直接営業活動を行うよりも、クラウドソーシングサイトを利用した方が効率的に仕事を獲得できるため、活用できるようになっておくと便利です。
自己管理スキル
CADオペレーターのフリーランスとして仕事を進めていくためには、自己管理スキルは欠かせません。
フリーランスの立場では、仕事の指示や進捗の確認をしてくれる上司はおらず、仕事のすべてを自分自身で進めていかなければなりません。
そのため、業務管理や1日の作業スケジュールの立て方など、自己管理スキルを身につけておくことをおすすめします。
スケジュールアプリやプロジェクト管理ツールを活用すると、楽に管理できますよ。
経理の基礎知識
CADオペレーターのフリーランスになるには、経理に関する基礎知識を身につけることが重要です。
独立後は、確定申告をする必要があるため、最低限の会計知識は欠かせません。
基本中のキホンの会計知識だけでも、なんとかやっていけてます。
また、自分のビジネスを円滑に運営していく上でも、支出や収入の流れを把握できる力は必要です。
まとめ
CADオペレーターはフリーランスとしても活躍できる職業で、厚生労働省統計によると、全CADオペレーターの14.5%が自営業・フリーランスです。
主に、設計補助や図面作成などの業務を担います。
フリーランスは、働く時間や場所に捉われずに働くことができ、スキルに応じた収入が見込めます。
人間関係のストレスも起こりにくく、ライフステージの変化にも対応しやすいのが魅力です。しかし、収入の不安定や自己管理の必要性などのデメリットもあるため、自分にあった働き方かをしっかり見極めることが重要です。
CADオペレーターのフリーランスを目指す場合は、営業スキルやクラウドソーシングの活用方法、自己管理スキルを身につけることから始めてみてはいかがでしょうか。