CADの資格は意味ない?取るか悩んだときの判断基準を現役CADオペが解説
転職活動を有利にするためにCADの資格を取ろうかな。
でも資格取っても意味ないって本当?
CADの資格を取る取得には時間や費用がかかるため、CADの資格を取得するメリットなどを事前に知っておくことが大切です。
この記事ではCADの資格が「意味ない」と言われる理由、取るならどの資格がいいのか、取るか悩んだときの判断基準について解説しています。
建築業界で長年働いている私が、CADの資格についてしっかり解説します!
CADの資格を取得しようか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
- CADの資格は意味がないと言われる理由
- CADの資格を取得する判断基準
- CADの代表的な資格
- CAD以外の取得すべき資格
【結論】CADの資格は意味ないが取っておくのも手
結論から伝えると、建築CADオペレーターになるのに資格は必要ありません。未経験や無資格でもCADオペレーターとして働けます。
しかし、CADオペレーターは専門性が高い仕事で、経験が重視されます。
実務経験がない場合、転職市場では戦える武器がないのと同じです。
そのため、未経験者にはCADの資格取得をおすすめします。
他の業界から建築業界への就職を目指すなら、CADの資格は持っていたほうがいいです!
CADの資格を取得することで、未経験でも、意欲や知識、技能があることをアピールできます。
取得するなら、CAD利用技術者試験、建築CAD検定試験を選んでおけば間違いないです。
また、さらに先を目指すならインテリアコーディネーターを取得しましょう。
CADの資格が意味ないと言われる理由
そもそも、CADの資格が意味ないと言われるのには、以下の3つの理由があります。
- 資格よりも実務経験が重視される
- 給料アップにはつながらない
- 他の資格が求められている
CADの資格を取得するかの検討要素として、内容を詳しく見ていきましょう。
資格よりも実務経験が重視される
CADオペレーターの転職市場で重視されるのは、同業種での経験や、一定レベル以上のCADの実務経験です。
実務経験を重視される職種や業種に、知識も経験もない状態では就職できる可能性が低くなってしまいます。
CADオペレーターのキャリアパスについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
給料アップにはつながらない
CADの資格を取得しても給料がアップする可能性が見込めない点も、CAD資格が意味がないと言われる理由の1つです。
企業の制度として、資格手当や取得祝い金を導入している会社もありますが、全ての会社がそうであるとは限りません。
制度が整っていない企業やCADの資格は手当の対象ではない場合、資格取得の費用は自分で用意する必要があります。
CADの資格を尊重している企業では昇給や給与アップに繋がる可能性もありますが、そういった企業は少ないのが現状です。
企業が求めているのは、資格取得ではなく実務経験、という現実が。。。
他の資格が求められている
建築業界では、CAD以外の資格が求められているケースがあります。
せっかくCAD資格を取得しても他の資格のほうが重視されている場合、CAD資格を取得しても意味がないと感じることもあるでしょう。
例えば、建築系の転職では、主に以下のような資格を持っていると有利に働きます。
- 1級・2級建築士
- 1級・2級施工管理技士
- 宅地建物取引士
- インテリアコーディネーター
- インテリアプランナー
- 福祉住環境コーディネーター
すでに上記の資格を持っている人にとっては、CADの資格は優先度が低いかもしれません。
資格取得にはある程度、勉強時間が必要になります。
受験する資格の種類を慎重に決め、計画的に進めましょう。
ちなみに建築士やインテリアコーディネーターの資格に手当がつく企業は多いのですが、CADは手当て対象になっていないケースがほとんどです。
CADの資格は意味がある!取るか悩んだときの判断基準
CAD資格の種類で紹介したように受験資格に規定がない場合が多く、未経験でも資格取得を目指すことが出来ます。
でも未経験だからCADの資格を取得したいな
先述したようにCAD資格は意味がないと言われつつも、気になる方もいるかもしれません。
- 未経験でも自信を持って転職活動したい
- 専門知識と技術を身に付けたい
- 信頼度を上げたい
ここで紹介するCAD資格取得のメリットを感じるなら、取得する意味があると言えるでしょう。ではCADの資格を取得する判断基準をみていきましょう。
未経験自信を持って転職活動したい
CAD資格の取得は業界未経験でも就職活動で自信を持ってアピールできる大きなポイントとなります。
建築関係の職や業種に就職したいと思いながらも、実務経験がなく自信が持てない人は、CAD資格を取得しておくのがおすすめです。
先述した建築CAD検定試験なら、実務経験がなくても技術の証明ができるため、転職活動で有利に働くはずです。
また資格取得に向けて時間とお金を調整し、計画を立て、目標を達成するという成功体験を得られます。
実際に私の職場にも、建築系の学校を卒業していないけれどCADの資格を持っていて入社してきた方はいました!
就職後も、積極的に仕事に取り組めるようになるでしょう。
また、CADオペレーターの転職活動として志望動機の書き方に悩んだときには、以下の記事をご覧ください。
専門知識と技術を身に付けたい
CADの資格を取得することで、専門知識や技術が身につきます。
またCAD資格を取得できなかった場合でも、資格勉強で得た知識は、建築関係の仕事や業種で活躍できる糧となるのもメリットです。
新たな資格の取得は専門知識がつくだけでなく、視野を広げたり、仕事の幅を広げたりと刺激にもなります。
やりたい仕事が決まっていて、CAD資格がその分野で重視される場合、資格の取得はムダにはなりません。
建築設計をやるならCADはずっと使うことになるので、持っていて損はないです!
また一定の成果を出したいのであれば、CADなどの関連資格を取得し、知識や技術をより磨くことが大切です。
信頼度を上げたい
CADの資格を取得することで、一定の知識やスキルを持っていることの証明ができます。
実際に資格を取得していることで、口頭でスキルを説明するよりも信頼度の高いアピールができますよ。
また、未経験で転職活動をするときにも、資格を取るほどに就職への意欲があることを伝えられます。
資格を取得するには、試験期間に合わせながら計画的に勉強を進める必要があるため、CAD資格を取得するために努力ができる人材という信頼度も上がります。
CADの資格は本当に意味ない?どんな資格がある?
CADの資格が意味ないと言われる理由を紹介しましたが、そうとは言えどもCADの資格取得をしようと思う方は多いでしょう。ここからはCAD資格の概要を解説します。
- CAD利用技術者試験
- 建築CAD検定試験
CADの資格は大きく分けて2種類あります。CAD資格の取得を検討している方は参考にしてください。
CAD利用技術者試験
CADの資格の1つに利用者技術試験があります。CAD利用技術者試験は一般社団法人コンピュータ教育振興協会が主催しており、CAD資格の代表的な試験です。
2次元CAD利用技術者試験は以下の3種類に分かれています。
- 1級
- 2級
- 基礎
ここではCAD資格におすすめの「1級(建築)」「1級(トレース)」「2級」について解説します。まず、概要を以下の表にまとめました。
1級(建築) | 1級(トレース) | 2級 | |
受験資格 | 2級または1級有資格者 | 2級または1級有資格者 | 規定無し |
受験料 | 16,500円(税込) | 16,500円(税込) | 6,050円(税込) |
試験方法 | 実技試験+筆記試験(25問) | 実技試験+筆記試験(25問) | 筆記試験(60問) ※CADソフト使用なし |
試験内容 | ●実技試験 ・RC造または木造 ●筆記試験 ・建築製図の基礎知識 ・建築生産の電子情報 | ●実技試験 ・編集・レイヤ設定能力 ・トレース能力 ・投影能力 ●筆記試験 ・製図の知識 | ●CADシステム分野 ●製図分野 ・製図一般 |
合格基準 | 実技試験・筆記試験 各5割以上および 総合7割以上 | 実技試験・筆記試験 各5割以上および 総合7割以上 | 各分野5割以上 および総合が7割以上 |
申込期間 | 前期:4月ごろ 後期:8月ごろ | 前期:4月ごろ 後期:8月ごろ | 通年 |
2024年6月時点での情報
2次元CAD利用技術者試験の2級受験は誰でも受験ができ、通年申し込むことが可能です。
全くの未経験でCAD資格取得を目指す方が挑戦しやすい資格の1つです。
また建築関係の企業や業種を希望している方で、2級のCAD利用者技術資格を保有しているなら、より実務技術を問われる「1級(建築)」「1級(トレース)」の取得を目指すのもおすすめです。
建築CAD検定試験
建築CAD検定試験は全国建築CAD連盟が主催する試験で、準1級は年1回、2級以下は年2回試験が実施されています。
また日本初の建築CADで30年以上もの歴史がある実技試験です。未経験でも建築関係の職種や企業に就職したい方に向いています。
建築CAD検定試験は以下の3種類に分かれています。
- 準1級
- 2級
- 3級
また「一般受験」と「団体受験」に分かれており、一般の学生以外の人と、教育機関に通っている学生とで実施月や試験会場が異なるので注意してください。
ここでは一般受験の内容を紹介します。
受験資格 | 準1級 | 2級 | 3級 |
受験資格 | 規定無し | ||
受験料 | 14,700円(税込) | 10,500円(税込) | 10,500円(税込) |
試験方法 | 実技試験 | ||
試験内容 | 課題として与えられた建築図面(RC構造等)をトレースする | 建築知識をもとに、CADシステムを使って建築図面を作成する | 与えられた建築図面をCADシステムを使って正しくトレースする |
合格基準 | 4図面すべて完成させる | 250点満点中 190点~200点を目安とする | 200点満点中 140点~150点を目安とする |
申込期間 | 毎年8月ごろ | 前期:2月ごろ後期:8月ごろ | 前期:2月ごろ後期:8月ごろ |
2024年6月時点での情報
トレース技術を問う実技試験のため、資格を取得することでCAD技術の実力を備えていることを証明できます。
また受験資格に規定はないので、最初から準1級に申し込むことが可能です。
しかし無理をして自分のレベルに合わない試験を選択せず、自分のレベルに合わせて、着実に資格を取得することが大切です。
また一般受験の試験会場は全国12箇所と限られているので、事前に確認しておきましょう。
CAD系以外で資格を取るならインテリアコーディネーター
建築業界で働きたいならインテリアコーディネーターも勉強しておくと、仕事の幅が広がるので検討してみましょう。
インテリアコーディネーターは、インテリア産業協会が開催する試験で、空間設計や構造・構法や仕上げ、インテリア関連の法規や制度、設備などの多様な知識が求められます。
取得しておくと、建築関係の業種で求められる技術が多く、「住宅メーカー」や「家具販売会社」などの業界でも活躍できる資格です。
ゆくゆくは建築士の資格を取ろうと思ってる人にもおすすめです。
私も建築士免許を取る前に、インテリアコーディネーターを取りました。
以下、インテリアコーディネーターの募集要項をまとめます。
一次試験 | 二次試験 | |
受験資格 | 規定無し | 過去3年以内に一次試験に合格していること |
受験料 | 基本タイプ(一次試験→二次試験):14,850円(税込)一次試験のみ:11,550円(税込) | 二次試験のみ:11,550円(税込) ※免除制度対象者のみ |
試験方法 | 学科 全36問 | 実技 筆記式 |
合格基準 | 非公開 | |
申込期間 | 7月中旬〜8月下旬 | 7月中旬〜8月下旬 |
2024年6月1日時点の情報
インテリアコーディネーターは一次試験と二次試験に分かれており、一次試験に合格できた人のみが二次試験を受験できます。
2023年度一次試験の合格率は35.0%、二次試験は56.9%と、合格率の高い資格です。
ただし資格には5年の有効期限があるため、定期的な更新が必要な資格であることも留意しましょう。
しかし、インテリアコーディネーターは独学でも資格取得しやすい資格です。
私も独学でインテリアコーディネーターを取りました!
公式テキストと過去問に取り組めば決して無理ではありません。
全くスキルがない状態で建築関係の仕事へ就職したい人は、CAD資格と合わせて検討してください。
参考:インテリアコーディネーター資格試験 試験結果|公益社団法人インテリア産業協会
まとめ
CAD資格の取得は、仕事や昇給に直結するケースが少なく、意味がないと言われることも少なくありません。
しかし全くの未経験で建築関係の業種に就職したいと考えている方は、CAD資格を取得しておくことで即戦力になることをアピールできます。
建築関係の業種は経験を重視するケースも少なくありませんが、建築CAD検定試験など、資格取得で得たスキルをアピールできる資格を取得することで、就職活動にも有利に働くはずです。
CAD資格は意味ないときめつけず、自分の希望する職業に合った資格を検討してみてください。