【体験談】大手企業の建築部門から会計業界へ!年収1.5倍を実現した異業種転職の経緯を聞いてみた!

今日も深夜の工事現場の立ち会い…。この働き方を、この先何十年も続けられる自信がない

学生の頃から建築をやってきたのに、別の業界に移ったらこれまでの経験は無駄になってしまうのかな
働き方や将来のキャリアを考えたとき、「もう建築・建設業界から離れたい。建築以外の道もあるのでは」と頭をよぎったことはないでしょうか。
ただ、これまで積み上げた知識や経験は活かせなくなると思うと、なかなか踏み出せないという方も多いかもしれません。
異業種への転職に踏み切るには、実際に転職した人の体験談を聞くと参考になるはずです!

そこで今回、建築アンテナでは、鉄道会社の建築部門から大手監査法人へ転職した「穂高さん」にお話を伺いました。

穂高さん(30代) プロフィール
- 大学院で建築を専攻後、インフラ系企業の建築部門に入社
- 設計、施工管理、事業間調整などを約6年担当
- 在職中にジョブローテーションで財務部門を経験
- 働きながら約2年かけて学習し、公認会計士試験に合格
- 現在はPFIをはじめとする、公共事業と民間企業をつなぐコンサルティング業務を担当している
話を聞いた人:建築アンテナ編集部(インタビュー実施時期:2026年7月)
鉄道会社で建築のキャリアをスタート

※画像はイメージです
――まずは新卒で鉄道会社を選ばれた理由から教えてください。
穂高:大学院まで建築を学んでいたので、就職先も建築の知識を活かせる企業を中心に探していました。
鉄道会社を選んだのは、残業がそれほど多くなさそうで福利厚生も整っており、幅広い仕事を経験できそうだと感じたからです。
入社後は、駅舎の設計・施工管理、事業者間での調整などを経験しました。在職中には一級建築士も取得しています。
――途中で建築以外の部署も経験されたそうですね。
穂高:ジョブローテーションで財務部門に異動し、連結決算の書類作成や固定資産の管理などを担当しました。財務部門で勤務したあと、また建築部門に戻った形です。
――公認会計士を目指すようになったのはなぜですか?
穂高: 財務の仕事で公認会計士の方と関わるうちに、働き方に興味を持ったことがきっかけです。
将来的に独立も目指せる職種で業務単価も高いため、次第に会計業界への転職を考えるようになりました。
建築の仕事は「もう十分やりきった」と思えた

※画像はイメージです
――学生の頃から建築を学んで就職した流れの中で、建築の仕事を離れることに迷いはありませんでしたか。
穂高:意外と迷いませんでした。当時はかなり忙しい部署にいたので感覚としては人の3〜4倍、「10年、15年分はもう働いたな」と思えるほどのやり切った感がありました。
深夜に現場に出向く必要もあったため、この働き方を長く続けるのは難しいと感じていたこともあります。
また、建築では多くの関係者と調整しながら仕事を進めますが、自分は一人でパソコンに向かって完結できる仕事のほうが合っていると気づいたことも大きかったです。
土日は勉強に充て、約2年で公認会計士試験に合格

――働きながらの試験勉強は、大変だったのではないでしょうか。
穂高: なかなか大変でした。土日はほぼすべて勉強に充てていました。
CPA会計学院の通信講座を利用し、教材とオンラインで学習を進めました。短答式試験に合格するまでに、私の場合は1,500〜2,000時間ほど勉強したと思います。
公認会計士試験に合格するまで、約2年かかりました。
――一級建築士と公認会計士では、どちらが難しかったですか。
穂高: 私の場合は公認会計士です。建築は学生時代から学んできた蓄積がありましたが、会計は学部で勉強したわけでもなく完全にゼロからのスタートだったこともあります。
試験も、簿記を発展させた内容に会社法などの法律科目が加わるような内容で、暗記量も多く計算も複雑です。
きちんと理解していないと解けない問題が多く、慣れるまでには結構時間がかかりました。
――転職活動はどのように進めたんですか?
穂高:公認会計士業界は少し特殊で、試験に合格するとビッグフォーなどの大手監査法人が行っている合格者向けの採用に応募できるんです。
転職サイトやエージェントは使わず、各法人のホームページから直接応募して、書類選考や面接を受けました。
応募先を選ぶ際に重視したのは、「大手で経験を積めること」と「これまでの経験を活かせること」です。
インフラ系企業やゼネコンを担当している監査法人であれば、建築の経験を活かせるのではないかと考えました。
結果として応募した法人からはいずれも内定をいただき、その中から今の会社を選びました。
公認会計士試験に合格していたことが大きかったと思いますが、前職での財務経験も多少は役立ったかもしれません。
転職後は年収1.5倍。基本リモートの働き方に

――転職して、待遇や働き方はどう変わりましたか。
穂高: 年収は前職の約1.5倍になりました。
クライアント先へ行くこともありますが、働き方も基本的にはリモートで、デスクワークが中心です。おかげで生活面の満足度はかなり上がりました。
また、今の会社には年功序列という雰囲気があまりなく、行動に対して正しく評価されている感覚があるため、納得感があります。
建築の経験は、異業種へ進んでも活きてくる

――現在はどのような仕事をされていますか。
穂高: 企業の決算書を監査する一般的な監査業務とは少し異なり、PFIなどの公共事業に関するコンサルティングを担当しています。
自治体が公共施設を整備する際に、民間企業の資金やノウハウを活用する事業があります。
どのような条件で民間企業を募集するか、公募方法に法的な問題がないかといった事業全体の仕組みを整理する業務です。
――建築の経験は現在の仕事にも活きていますか。
穂高:はい。企業の技術力や強みを評価する項目を選ぶこともあるのですが、施工方法や過去の実績について話を聞いたときに、内容をぱっと理解できるんです。
会計の知識だけでは分かりにくい建築の専門的な内容も、これまで現場で経験してきたことがあるのでイメージできます。そういう場面では、前職の経験があってよかったと感じますね。
――異業種からの転職で苦労したことはありましたか。
穂高: 前職では事業者側の立場でしたが、転職後はクライアントワークになり求められるスピード感がまったく違いました。
また、異業種からの転職とはいえ社会人経験を積んでいる以上、新卒よりも「ある程度できて当たり前」と見られる部分もあったと思います。
会計の実務では、自分より年下でも経験や知識が豊富な方がたくさんいるので、分からないことは詳しい人にきちんと聞くようにしていました。
自分が理解できるまで質問し、その積み重ねで少しずつ仕事の進め方やスピード感にも慣れていきました。
――今後の目標を教えてください。
穂高: 公認会計士として登録するために必要な実務経験を今年で満たせる見込みなので、その後は自分で事務所を持ちたいと考えています。
独立後は、中小企業や個人の方を対象に税務の仕事をしていきたいです。
――最後に、建築業界から異業種への転職を考えている方へアドバイスをお願いします。
穂高:興味があるなら、ぜひ挑戦してみてほしいです。会計は英語やITと並んで、ビジネスに役立つ知識だと思います。
私自身、建築士としての専門性に会計の知識を掛け合わせたことで、視野が大きく広がりました。
仮に挑戦して思うような結果にならなかったとしても、勉強したことや新しく身につけた知識は残ります。
自分の能力や視野を広げる意味でも、挑戦することには価値があると思います。
――建築業界から会計業界へと転職しながら、これまでの経験を新たな仕事の強みに変えていったお話がとても印象的でした。本日は貴重な体験談を聞かせていただき、ありがとうございました!


