建築士が転職するときは他業種もアリ!向く業界と成功させるためのコツ
建築士として働きながらも他業種へ転職を考えている方もいるかもしれません。転職理由は、キャリアアップや新たな世界へ挑戦したいなど方によって様々でしょう。
転職したいけど、建築以外の仕事に就くのは現実的かな?
建築業界しか実務経験ないけど、他業種に転職ってアリ?
建築士は、実務経験を通して多様なスキルを身につけているため、他業種への転職も十分に検討可能です。
しかし、他業種といっても建築士に向く職業とそうでない職業があるため、転職を希望するジャンルを選ぶことが大切です。
そこでこの記事では、建築士から他業種への転職で活かせるスキルや、建築士が転職するのに向いている業種を紹介しますので、ぜひご覧ください。
- 建築士が転職するのに向いてる他業種
- 建築士が他業種への転職で活かせるスキル
- 建築士が他業種に転職するときのコツ
建築士におすすめの他業種の転職先【スキルを活かす】
これまで建築士として仕事をしてきた方が、スキルを活かして転職するには、どのような業種があるのでしょうか。
建築士として身についたスキルを活かすなら、以下の他業種への転職がおすすめです。
- IT業界
- 営業職
- 人材業界
建築士で勤め続けてきた方の中には、建築業界以外の発想がイメージできないかもしれません。しかし少し視野を広げることで、建築士のスキルを活かした新たな転職先が見つかる可能性があります。それぞれの業界について、詳しく解説します。
IT業界
建築士から他業種へ転職するなら、IT業界を検討してみましょう。ITやWeb業界はインターネットの急激な拡大により、慢性的な人手不足が問題とされています。
また、IT業界は未経験でもチャレンジしやすい業界です。
未経験からのスタートは年収が下がってしまうリスクがありますが、建築士の資格に比べてIT関係の資格は幅広く、選択肢が多いのもメリットです。
プログラマーやエンジニア、Webデザイナー、Webマーケターなど様々な業種から興味のあるものを選ぶという方法もあります。
営業職
営業職も建築士から他業種への転職でチャレンジしやすい業種です。
建築士としてクライアントと接してきたコミュニケーション能力をスキルとしてアピールできます。営業職は求人の種類も多く、興味のある企業へ転職することもできるでしょう。
また不動産業であれば建設業での知識を活かした営業で活躍することも可能です。
また営業の成績次第では、収入がアップすることもあるため、仕事のモチベーションを維持しやすいという特徴があります。
年収に自分の頑張りが反映される働き方があっている方は、営業職が向いているかもしれません。
人材業界
建築士が未経験で他業種へ転職するなら人材業界も検討してみましょう。
転職が当たり前となった現代では、人材業界のニーズは高まりを見せており、未経験でも転職しやすい業種です。
人材業界も人と接する職業であるため、建築士として様々な人と接してきたスキルを、強みとしてアピールできます。
また人材業界へ転職した経験を、求職者への案内するときに活かすこともできるでしょう。
人材業界であれば早朝からの出勤対応や休日出勤なども少ないと考えられるため、身体的負担も建築士に比べ軽減できます。
体力的な負担を感じている方や女性にもおすすめの業種です。
建築士におすすめの他業種の転職先【経験を活かす】
建築士には、すでに利用していた技術を活かすこともできる業種もあります。ここでは、建築士の経験を活かせる転職先を紹介します。
- 公務員
- 設備メーカー
- CADオペレーター
では建築士の経験を活かした転職ができる業種をみていきましょう。
公務員
建築士の経験を活かして公務員へ転職することも一つの選択肢です。
公務員の中には地方技術職があり、土木技術や建築技術職の採用試験が実施されています。
公務員は建築士と違い現場へ出向く必要のないデスクワークが中心です。また、残業が少なく給与が安定しているのでプライベートも充実させることができます。
また、試験の実施時期は年に1回であるため、転職するタイミングが決まってしまうのがデメリットです。
試験内容は自治体によって異なり、年齢制限も自治体によって違うため、よく確認しておくことが大切です。
設備メーカー
建築士として建築の仕組みを理解した知識を活かして、住宅設備メーカーへ転職するのもおすすめです。
インテリアの内装や家具、設備、空調関連機器のメーカーなどがあります。
建築士としての視点から設置個所などの的確なアドバイスをすることができるため、空調設備メーカーなど建築の知識が求められる業界では、優遇される可能性が高いでしょう。
設備メーカーでは未経験でも建築士の資格や経験を考慮した年収で転職できるケースもあります。
建築士の年収が割に合わないと感じている方は、設備メーカーへ転職後の年収と比較することもおすすめです。
CADオペレーター
建築士として業務でCADを使ってきた人は、建築業界の中でも他業種のCADオペレーターになる方法もあります。
CADオペレーターとして活躍できる業界は、建設業からハウスメーカー・設備業界など幅広く、建築士の資格を取得しておくとより転職先の選択肢が広がります。
私は住宅の建築士から空調設備の会社に転職しました。
建築士の知識と経験は、即戦力として使えます!
企業にもよりますが一般的に、CADオペレーターは働く時間を調整しやすい職種です。
ワークライフバランスの取れた働き方をしたい方にはおすすめです。
建築士が他業種に転職したくなる主な理由
そもそも、建築士が他業種に転職したくなることには、建築士特有の理由があることも少なくありません。
ここでは、建築士が他業種へ転職したくなる主な理由を、以下の4つ解説します。
- 納期を守るのがきつい
- 激務に追われる
- 年収が割に合わない
- 資格の勉強が大変
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
納期を守るのがきつい
建築士は納期がある仕事が多く、現場を監理する業務も担います。納期までのスケジュールはいつもスムーズに進行するとは限らず、納期が近づけば業務に追われがちになることがあります。
通常の業務時間では間に合わず休日を返上するケースもあるかもしれません。
ほかにも納期に間に合うように現場の進行状況を把握し、指示を出していくのも建築士の仕事の1つです。
自分の業務をただ遂行するだけではなく、現場で働く職人を監視し、年上の人に仕事を早く進めるよう催促することが負担になることも少なくありません。
このように、「納期を守らないといけない」という精神的負担は、建築士が他業種に転職したくなる原因の1つでしょう。
激務に追われる
建築士の業務内容は多岐にわたるため、激務になりがちです。
建築士はクライアントの希望やイメージの実現化を求められるため、打ち合わせの回数も多く、修正も繰り返し行うため、図面が完成するまでに時間を要するケースもあります。
そして、クライアントとの打ち合わせや図面作成をしながら、現場の進捗状況も確認する必要があります。
また納期のある仕事であるため、繁忙期には残業が多くなることも少なくありません。
残業が続き休日返上などが続くと、他業種への転職を意識しはじめる建築士もいます。
年収が割に合わない
勤める会社の待遇によっても年収に大きく差はありますが、建築士は体力や精神的負担の割に年収が低いと感じる方もいるでしょう。
先述したように建築士の仕事には納期があり、激務に追われることが多い業種です。
建築士が年収を増やすためには、資格を取得したり、出世したりする方法が考えられます。しかし、すでに出世している上司の年収から将来の年収が予想でき、出世しても割に合わないと考える方もいるかもしれません。
また女性の建築士であれば出産などを考え、身体への負担の割に年収が合わないと他業種へ転職を考える方もいるでしょう。
資格の勉強が大変
建築士は資格がなくてもできますが、第一線で活躍するには資格が必要です。建築士の方なら一級建築士を目指す方も多いでしょう。
しかし以下の表にもあるように一級建築士は難関資格で、近年は合格率が10%を切っています。
試験実施年数 | 1級建築士の合格率 |
---|---|
令和元年 | 12.0% |
令和2年 | 10.6% |
令和3年 | 9.9% |
令和4年 | 9.9% |
令和5年 | 9.9% |
激務に追われるなかで難関資格の勉強をすることは大きな負担であることに変わりありません。それでも、多くの建築士が仕事をしながら一級の資格取得のために勉強しています。
日々の大変さも考えると、勉強をしながら建築士を続けることよりも、他業種へ転職したいと考える方も多いでしょう。
建築士が他業種に転職するときに活かせるスキル
建築士には他業種へ転職するときにアピールできる以下のようなスキルがあります。
- マネジメント能力
- トラブルへの対応力
- コミュニケーション能力
履歴書や面接の志望動機でアピールしましょう!
マネジメント能力
建築士が働く建築業界はチームで働く仕事であるため、チームをまとめる力を培っています。建築士はクライアントからの要望を図面などでイメージを形にし、設計士や現場スタッフに的確に指示を出さなければなりません。
必然的にマネジメント能力が身につくため、他業種への転職でもアピール材料として活用できます。
年齢が高いほど経験値も高いので積極的にアピールしたいポイントです。建築士として具体的にどのようにチームをまとめて業務をマネジメントしていたかを詳しく説明すると、より強みとして主張できます。
部下をまとめ仕事をスムーズに進められることや、チームでの円滑な業務進行ができる点をアピールしましょう。
トラブルへの対応力
先述したように建築士の仕事はクライアントや複数のスタッフと関わることの多いため、トラブルはつきもの。
建築士は納期に向けてスムーズな進行や現場指示を行いますが、建築現場では天候やトラブルなどで進行やスケジュールに遅れが発生することもあり、臨機応変に対応することが求められます。
また、納期に遅れについてクライアントに説明することでトラブル発生時のクライアントへの説明スキルが身につきます。
どのような職業でもトラブルは発生するので、目の前の課題やトラブルを解決する力は、他業種に転職するときにもアピールできるスキルです。
コミュニケーション能力
建築士はクライアントから、現場で活躍する職人まで動かす立場なのでコミュニケーションも自然と身につきます。
クライアントの要望をうまく聞き出したり、どうやって希望に合わせた内容にしていくかなど、何度も打ち合わせを繰り返すこともあるでしょう。
また、現場や業務に関わるスタッフなど、メンバーに対して的確に指示を出すためには、適切な言葉を用いて分かりやすく話す能力が必要です。
そして、上司や部下など、どの立場の人と接するときにもコミュニケーション能力は大切なスキルです。
営業職やCADオペレーターなど、コミュニケーション能力はどのような職業でも活用できるスキルであるため、トラブル対応と同様に、円滑な仕事ができるアピールポイントとなり得ます。
建築士が他業種に転職するときのコツ
ここでは、建築士が他業種に転職するときのコツを紹介します。
転職を考え始めたらまず確認しておきたい内容です。他業種へ転職を検討している建築士の方はぜひ読み進めてください。
転職先の業種をしっかり調べる
建築士から他業種へ転職を考えるなら、まず転職先にどのような業種があるか確認しましょう。先にも紹介したような建築士だからこそのスキルを活かせる以下の業種が向いています。
- IT業界
- 不動産などの営業職
- 地方公務員
- ハウスメーカー
- CADオペレーター
- 建築会社のコンサルタント
建築士としての知識や経験を活かした転職先から、スキルを活用できる転職先もあります。
全くの新しい他業種へ転職を希望する場合は、他の分野からの転職者を受け入れた実績があるかを調べましょう。
転職の動機をまとめる
建築士から他業種へ転職したい動機が曖昧だと、面接で志望動機を聞かれたときに返答する内容も薄くなります。
なぜ建築士ではなく他の業種に転職するのか、明確な動機を書き出すなどして自分の中でまとめておくと、面接などで納得感のある説明が可能です。
また希望した業種へ転職したい動機も合わせてまとめるとより内容の濃い志望動機になります。
他業種への転職の場合、他の業界を志望した理由を聞かれることが多いので、動機を自分の中でしっかりとまとめておきましょう。
活かせる経験とスキルを洗い出しておく
建築士と一口に言っても、仕事内容は様々です。建築士としてどのような業務に携わってきたかを確認し、内容から活かせる経験とスキルを洗い出しておきましょう。
建築関係のスキルだけでなく、コミュニケーションやマネジメントスキル、トラブル対応などは他の業界でもアピールできるスキルです。
建築士としてだけでなく、どう新しい業界で活かせるスキルなのか説明できるようにしておくことも大切です。
キャリアパスを考えておく
建築士から他業種へ転職した場合の、5年後、10年後のキャリアパスを考えておくことも重要なポイントです。
建築士から他業種へ転職し何がしたいのか、将来のライフプランに落とし込んでイメージしておきましょう。
次の業種で、どのように自分の希望を実現していくかを考えることで、転職先の希望や要望の方向性もまとまります。
建築士が他業種に転職するときの年代ごとの強み
建築士で他業種へ転職を考えている方の中には、年齢について気になる方もいるかもしれません。ここからは、年齢別で建築士が他業種へ転職する場合のポイントや注意点を紹介します。
- 20代の建築士の場合
- 30代の建築士の場合
- 40代建築士の場合
建築士が他業種へ転職するなら、年齢的に早ければ早いほうが選択肢が多くなるでしょう。では詳しくみていきましょう。
20代の建築士の場合
他業種へ転職をしたいと考えている20代の建築士の場合は、将来性を見込んで採用されるケースも多いため、全く新しい業種へのチャレンジでもそこまで難しくはないでしょう。建築士として働いてみて業務内容や残業が負担で転職を検討し始めたなら、早めに転職活動することがおすすめです。
20代はポテンシャル採用されやすいです!
建築士としてのスキルや経験は少なくても、転職先の仕事内容を早く覚えられる点は20代で転職することのメリットです。
30代の建築士の場合
30代で建築士から他業種へ転職を考えているなら、これまで仕事で培ってきたスキルをいかに次の業界で活かせるか、論理的に説明するのがポイントです。
社会人経験のある30代。ステップアップを目的とした転職をする人が多いです!
また、30代は将来性も見据えた転職を考える必要があるため、収入面やライフプランの立てやすさも転職先を選ぶときに注目したいポイントです。
建築士として働いている勤務状況と転職先を比較することが大切です。
40代建築士の場合
40代で建築士が他業種へ転職する場合、同業種よりも難易度としては高くなります。建築士としての経験やスキルを活かせる職種なら、アピール次第でより待遇の良い転職先が見つかる可能性もあるでしょう。
ただし40代で未経験他業種へ転職する際は、40代でも年齢に関係なく新人という位置からのスタートとなることを留意しながら転職する必要があります。
マネジメント能力など新たな業種でもすぐに活躍できるスキルがあれば、ある程度の地位からスタートできるケースもあります。
まとめ
建築士は心身ともに負担の大きい仕事であるため、他業種への転職を検討している方や、転職を考え始めた方もいると思います。
建築士を辞めて他業種へ転職したい理由はなぜなのかを考え、転職の理由を改善できる転職先を探すことも大切です。
残業が負担だった方は、残業の少ない公務員を検討する、年収が割に合っていないと感じた方は、売上が年収に直結する営業職に転職するなどの方法をおすすめします。
また、転職活動に失敗しないよう、数年後のキャリアパスがイメージできる転職先を探しましょう。