私が建築設計職を辞めたい!と思った理由と今悩んでいる人に伝えたいこと
ハウスメーカーや建設会社、設計事務所で働いていていると、仕事がつらいと思うこともあるでしょう。
設計職、辞めたい。。
仕事はきついけど、辞めるべきか悩む
なんて思うことはありませんか。
元ハウスメーカーの設計担当です。毎日残業、休日出勤が当たり前の会社を辞めました。
そこでこの記事では、私が建築設計職を辞めた理由をまとめていきます。
また、同じように悩んでいる方に向けて、仕事が嫌になったときのおすすめの行動5選を紹介します。
私が建築設計職を辞めたいと思った理由
私が住宅メーカーの設計職から転職したのは、「業務量に疲弊したこと」と、「メンタルを保てなくなったこと」が主な理由です。
ここでは、具体的に何が理由で辞めるに至ったかを解説します。
業務量の割に手取りが少ない
当時、新規の住宅の仕様打ち合わせが、継続して月に2棟入っていました。
ハウスメーカーではよくあることですが、着工中の現場でもトラブルが起こるのは日常茶飯事です。
お客様との打ち合わせ準備をしたいのに、建設部からしょっちゅう電話がかかってくる。
メール返信、図面・発注・積算……と、業務は山ほどあるのに、「私の収入って、そんなに高くない?」と気づいたときには、落胆しました。
報奨金がつかない設計職はツライ。。。
私が働いていた住宅メーカーでは、営業は担当物件が増えれば給料が上がっていくものの、実施設計に報奨金が入ることはありませんでした。
業務量が多いにもかかわらず、その努力が給料に反映されているとは思えず、次第に転職を考えるようになったのです。
部署間の人間関係に疲れた
在職中は、設計 vs 営業、設計 vs 建設といった部署間の人間関係に悩むことがよくありました。
例えば、設計部の上司には「立ち会わなくていい」と指導されているにも関わらず、営業からは「設計部は上棟に来ない!」と文句を言われることもしばしば。
自分だけではどうにもできない、部署間の溝が。。。!
ひとつひとつ気にしていたら仕方ないと自分に言い聞かせるものの、次第に人間関係のストレスは増していきました。
設計・発注の責任が重い
設計職の、発注時のプレッシャーは相当なものです。
打ち合わせ内容が図面に反映されているか、搬入経路に問題はないか、図面通りに納まるか……。
ミスや漏れがないように満点を目指すテストに似ています。
『部材の発注を間違えたのは、、、そ、そうです設計3課の私です。。』(顔面蒼白)
入念にチェックしていてもミスしてしまい、始末書を書くたびに責任の重さを突きつけられ、次第に疲れを感じるようになりました。
お客様対応で疲弊した
ハウスメーカーの住宅設計は、当然ながらお客様との打ち合わせは避けられません。
充分に配慮しても、お客様から予期せぬクレームが入ることがありました。
「雨樋が前に見えるとは思わなかった」「展示場にはここにガラスが入っていたのに、なぜないの?」などなど。
きちんと打ち合わせで伝えたはずでも、現場が進むとイメージとの違いを感じるお客様は少なくありません。
建築も設計も好き。でももうお客さまと会いたくない。。。
なんて思ったことは幾度とあります。
お客様にとって住宅は高い買い物。期待を裏切ってしまったことを、謝罪しなければならない場面は多くありました。
ライフイベントを経ながら働き続けられそうにない
私が働いていたハウスメーカーの設計職には、出産・育児を経ながら続けている人はいませんでした。
そもそも、ほとんどが男性。女性の建築設計職の人数は少ない上に、活躍している女性の先輩方は全員結婚していない、という状況です。
女性の設計の先輩で結婚・妊娠・出産した方は、それぞれのタイミングを機に退職するか、CADやインテリアの部署に異動して、契約社員になるのが一般的でした。
『残業当たり前の部署だから、将来、結婚したら私も辞めるのかな。。。』
と、次第に思うようになりました。
建築設計職を辞めたいと思ったときにとった行動
私は、設計職を辞めたいと思いはじめてから、実際には辞めるまでに悩んでいた時期が長くありました。
辞めたいと思ってから、3年くらい悩んでいました!
ここでは、転職を考えたときに私がとった行動を紹介します。
信頼できる人に相談する
まずは、信頼できる人に仕事で悩んでいることを相談しました。
私は、中高の同級生で他業種の友達によく相談していました。
誰かに話を聞いてもらうと、自分の中の悩みが整理されて、改善策があることに気づくことがあります。
違う仕事をしている友達は、新たな気付きをくれることもあります!
1人で考え込んでしまうと、冷静な判断が難しくなることも少なくありません。
家族に相談するのもよいかもしれません。話を聞いてもらえるだけでも、心が軽くなるのでおすすめです。
同じ会社の違う部署の先輩に相談する
同じ会社の他部署の先輩に相談するのも1つの方法です。
会社の中にいる先輩は、設計部と他部署の関係や、問題に感じている上司の人柄も理解しています。
「〇〇さん(営業)は、厳しいことを言うタイプだから気にしなくていいよ」や「前設計の〇〇さんはこんな方法で解決してたよ」など、アドバイスをもらえることもありました。
社内に相談できる人が1人でもいると、気が楽になりますね。
ただ、人間関係の悩みは単なる悪口と捉えられてしまうこともあるため、相談する人や伝え方は十分考慮したいですね。
休みの日はとにかく休む
設計職を辞めたいと思ったときには、疲れが溜まっているサインかもしれません。休みの日には、とことん休んでください。
私は1人で岩盤浴に行ったり、好きな本や雑誌を読んで過ごしてました。
休むときには、できればSNSとは距離を置いてみてください。
友達がキラキラした休日を過ごしているのをSNS上で見ると、ストレスになることはありませんか。
それと比べて自分を責めたり、無理に予定を入れると逆効果です。
「今日は何もしなかった」と感じる日があったとしても、自分のリズムで休日を楽しんでみてくださいね。
建築設計職を辞めるべきか見極める方法
実際に、建築設計職を辞めるか悩んだときには、以下の3つをポイントにしてみてはいかがでしょうか。
- 今の辛さは時間で解決できるか
- 辞めたい原因は交渉して解決できるか
- 転職は自分のキャリアにプラスになるか
今の辛さは時間で解決できるか
新しい部署に配属されたばかりだと、職場や仕事に馴染むまで、緊張感とプレッシャーでストレスを感じるものです。
今は大変かもしれませんが、業務に慣れたり経験を積んだりすることで、悩みが解消される見込みはありませんか。
今の悩みは、来年、たいしたことないって思えそうなら、もう少し転職時期を検討してみるのもよいかもしれません。
もし時間で解決されるのであれば、少しの間、耐えて状況が改善するのを待つ価値はあると思います。
辞めたい原因は交渉して解決できるか
「辞めたい」と思っている原因が、上司や先輩に交渉して解決できるのであれば、まだ今の職場で仕事を続けてみるのも方法の1つです。
例えば、「部長から他部署に明言してくれれば、やりやすくなる」といった問題はありませんか。
「辞める」と決める前に、一度は上司との交渉を検討してみてください。
理系職の上司には、感情論よりも数字を使って理由を伝えるのがおすすめです。
相談するときには、客観的な事実に焦点を当ててみましょう。
「この業務には⚪︎時間かかっているので工数を減らせませんか」など、論理的に事実を説明することで、措置を講じてもらえる可能性が高まります。
転職は自分のキャリアにプラスになるか
職場を辞めるか判断するときには、働き続けることで理想のキャリアプランに沿っているかを慎重に考えてみるのもおすすめです。
たとえ今の会社に不満があっても、将来的にキャリアアップにつながる可能性があるなら、すぐに辞めるのはもったいないかもしれません。
例えば、「将来は建築設計事務所を構えて独立したい」という目標があるなら、設計経験が積める職場での経験は、プラスになるはずです。
将来の自分のプロフィールに、今の職場は必要か考えてみてください。
けれど、他にやりたいことがみつかった場合など、自分のキャリアビジョンと今の仕事はつながらないと感じるなら、転職をするのも方法の1つです。
建築設計職を辞めたい人におすすめしたいこと
建築設計職を辞めたいと思ったときには、ぜひこんなことを試してみてください。
- キャリアプランを立て直す
- 他社の労働条件をみる
- 転職する理由を整理する
- 転職活動を始めて自分の市場価値を理解する
- 転職の計画を立てる
キャリアプランを立て直す
まずは、自分が建築士としてどうなりたいか具体的なキャリアプランを立て直してみてください。
- まだ二級建築士や一級建築士の資格を取得してないなら、いつまでに取りたいか
- 今の職種を続けたいのか
- 他業種を経験してみたいか
- 独立する予定はあるか
などを考えてみてください。
なお、設計職は他業種でも活かせるスキルがたくさんあります。他業種への転職を考えたときには、以下の記事をご覧ください。
建築士が転職するときは他業種もアリ!向く業界と成功させるためのコツ
私は、キャリアプランの立て直しを図り、そのとき募集が出ていた空調設備会社の設計補助職に転職しました。
建築に携わり続けられること、時間的に余裕のある毎日が送れること、労働条件がよかったことが決め手です。
自分のなりたい姿を設定し、そこから逆算して計画を立てることで、今、どうすべきかが見えてくるはずです。
他社の労働条件をみる
建築設計職を辞めたいと思ったときには、まず他社の労働条件を調べてみるのもおすすめです。今の職場と比較して、より良い環境や待遇があるのかが確認できます。
また、他の企業の福利厚生やキャリアアップ制度、残業時間などもチェックすると、いろいろな働き方ができることに気付くはずです。
このとき、自分のこれまでのキャリアから、少しスライドして探すと幅が広がります。
「住宅をやりたい」「意匠設計にこだわりたい」などなければ、幅広く探してみてください。
例えば、同じ住宅設計だけでなく営業設計職で検索してみるのも方法の1つです。
いろんな労働条件をみて、視野を広げてみると今の設計職を続ける判断材料にもなりますよ。
転職する理由を整理する
設計職を辞めたいと思ったら、まずその理由を整理してみてください。
手軽にできるのは、紙のノートやスマホのメモ帳に、辞めたい理由を箇条書きで書き出してみることです。
例えば、「ルーティンワークで成長を感じられない」「顧客対応が嫌」「会社の方針に納得がいかない」など、思いつく理由が出てくるはずです。
自分の気持ちを深堀りすることで、設計職を辞めたいのか、建築関係の仕事から離れたいのか、それとも今の職場が嫌なだけなのか、判断しやすくなります。
転職する理由を整理することは、次の職場探しの軸にもなるからおすすめです。このときの転職活動で私が書いたのは、こんなかんじです。
- 土日休みがいい
- お客様対応は避けたい
- 建築には携わりたいけれど住宅でなくてもいい
転職活動を始めて自分の市場価値を理解する
次の仕事を決める前に辞めてしまうと無職の期間ができてしまうため、仕事を続けながら転職活動を始めることをおすすめします。
実際に転職活動を始めると、転職市場での自分の価値を認識できます。
自分の価値は、自分では気づかないこともありますね。
転職活動を始めていくと、思いがけず自分の経験やスキルが高く評価されることもあります。
転職の計画を立てる
転職は、求人探しから面接、内定の獲得、そして引き継ぎまでを含めると、だいたい3~6ヶ月はかかります。
特に、今の仕事を続けながらの転職活動では、面接の日程を調整するのに時間がかかることも少なくありません。
まず、転職を考え始めたら、まずは今の職場の就業規則を確認して、退職日の数ヶ月前までに退職の意向を会社に伝える必要があるかを確認しましょう。
そこから逆算して、転職活動を始めるのがスムーズです。
おおまかな転職計画を立てておくと、実際に辞めるときにも慌てなくて済みます!
まとめ
建築設計職は、責任も重いけれどやりがいのある仕事で、すぐに辞めるか答えが出ないこともあるかもしれません。
まずは、信頼できる友人や先輩に相談したり、心と体をゆっくり休めてください。
私は本記事で書いた理由で建築設計職を辞めましたが、経験できたことに感謝していますし、今の仕事の基盤にもなっています。
今の職場でたくさん悩んでいると思いますが、経験も悩みも必ず糧になります!!
自分が「どう働きたいか、将来どうなりたいか」を、ぜひじっくり考えてみてください。