「ブランクがあるから不安…」そんな建築士に知ってほしい再就職の面接対策


離職していた期間があるんだけど、もう一度建築士として再就職できるかな…

面接で何を聞かれるんだろう…。履歴書にどう書けばいいのか分からない
そんな不安を抱えて、再就職に踏み出せずにいる方も多いのではないでしょうか。
体調不良や資格取得、出産など、理由はさまざまでも、長く現場を離れていたことに後ろめたさを感じてしまう方は少なくありません。
しかし、再就職のためのコツを押さえて準備すれば、建築士はブランクがあっても十分に再スタートできる職種です。
この記事では、ブランクのある建築士が再就職を目指す際に役立つ面接対策や、企業に好印象を与える伝え方のコツをわかりやすく解説します。
- ブランク期間の伝え方と履歴書への書き方のコツ
- 面接で好印象を与えるポイント
- 再就職に向けた事前準備
建築士はブランクがあると再就職は難しい?

建築士は専門職であるためブランクがあっても再就職は可能ですが、実務感覚やスキルの維持が重視されます。
しかし、ブランク中の学びや取り組みを具体的に伝えることで、採用の可能性は十分にあります。
ここでは、ブランク期間として許容される目安や理由を整理する方法を解説します。
ブランク期間が許容される目安とは

一般的に、半年〜1年程度のブランクであれば許容されると言われます。
しかし、難関資格の取得のためや、留学や育児などが理由だった場合には、1年以上ブランクが空くこともあるでしょう。
それ以上の場合は「なぜその期間が空いたのか」と「復帰の準備をしていたか」を明確に伝えることがポイントです。
ブランクができた理由を整理しよう

ブランクを経て再就職を目指す際は、まずその理由を明確に整理することが重要です。
企業側は「なぜ離職したのか」「その期間に何をしていたのか」を重視しています。
例えば、資格取得の勉強、家族の介護、子育て、自身の体調の回復など、理由はさまざまだと思います。
たとえどんな事情であっても、正直に伝え、仕事に対して意欲的な姿勢を示すことが大切です。
あいまいな説明ではかえって不信感を与えてしまうため、理由とともに「再就職のために準備をしていた」など、仕事への熱意があることをしっかりと伝えましょう。
ブランクがある建築士に対する企業側の懸念点

実際に、離職期間や空白期間のある求職者に対して、企業側はどのような懸念を持つのでしょうか。
ここでは、考えられる懸念点を確認していきましょう。
- 働く意欲が低下していないか
- 新しい職場でも学ぶ姿勢があるか
- 建築士としての基本スキルが衰えていないか
働く意欲が低下していないか

ブランクがある建築士に対して、企業側が特に気にするのは「働く意欲が低下していないか」という点です。
設計や施工管理の現場では、スピード感や対応力が求められるため、長期間の離職でモチベーションや実務感覚が鈍っていないかを不安視されることがあります。
そのため、これまでどんな準備をしてきたのか、どんな思いで再就職を目指しているのかを明確に伝えることが重要です。
やる気と行動をセットで示すことで、信頼感を得やすくなります。
新しい職場でも学ぶ姿勢があるか

ブランクがある建築士に対して企業が懸念する点のひとつが、「新しい職場でも学ぶ姿勢があるか」です。
建築業界は法改正やCAD・BIMなどの技術進化が早いため、常に知識のアップデートが求められます。
ブランクが長いと、業界の変化に対応できるか不安視されがちです。
建築士としての基本スキルが衰えていないか

ブランクがある建築士に対して企業が懸念するのは、「基本スキルが衰えていないか」という点です。
建築士には、図面作成や法規の理解、現場への対応力など、即戦力として求められるスキルが多くあります。
長期間実務から離れていると、「設計の勘が鈍っているのでは?」「法改正に対応できるのか?」といった不安を持たれがちです。
建築士のブランクとして納得感が得られやすい理由

建築士が離職期間や空白期間を伝えるときには、納得感の得られる理由を説明することが大切です。
前職を退職した理由にはいろいろな理由があったとしても、そのあとのブランク期間に前向きな理由がある場合は、伝えるのがポイントです。
一般的に納得感が得られやすい理由には、以下の4つがあります。
- 資格取得を目指していた
- 短期留学・滞在をしていた
- フリーランスで業務を請け負っていた
- 出産や子育てをしていた
資格取得を目指していた

資格取得を目指して勉強していたという理由であれば、「ブランクがあったのも納得」と受け止められる可能性があります。
特に、一級建築士・構造設計一級建築士・設備設計一級建築士などは、実務経験と専門的な知識が求められる難関資格です。
そのため、取得を目指してブランク期間に集中して勉強していたという理由は理解されやすいと言えます。
人によっては、宅地建物取引士(宅建)や二級建築士、インテリアプランナーなどを目指しているケースもあるでしょう。
どの資格であっても、応募先の仕事に関連していれば、前向きな取り組みとして評価されます。
ただし、在職中に資格取得を目指す人も多いため、「勉強していた」だけでは弱く見えてしまうこともあるため、伝え方には工夫が必要です。
短期留学・滞在をしていた
海外の建築や持続可能な設計に関心があり、短期で海外に渡航して見聞を広めたという場合も、プラス評価につながる可能性があります。
「欧州でパッシブデザインが取り入れられている住宅や公共施設を視察・学習した」など、動機と学びをきちんと語ることがポイントです。
一方で、「語学留学」だけにとどまるとアピール力は弱くなります。
建築の仕事とどう仕事に結びつけられるかまで、説明できるようにしておきましょう。
フリーランスで業務を請け負っていた

ブランク期間にも建築士としてのスキルを維持していたことが伝われば、採用担当者の懸念を払拭できます。
個人で建築事務所のサポートや図面作成、BIM導入支援などの単発業務をしていた場合、実務から離れていなかったことの証明になるでしょう。
出産や子育てをしていた

結婚や出産・育児によるブランクは、建築士としてのキャリアに関係なく起こり得るライフイベントです。
企業側も、理解を示しやすい理由のひとつです。
特に近年は、仕事と家庭の両立を尊重する風潮も広がっており、それ自体が大きなマイナス評価につながることは少なくなっています。
近年は男性の育児参加が社会的にも広がっているため、男性に対しても理解を示す企業が増えています。
ただし、建築業界では即戦力が求められる場面も多いため、ブランク中にどのようにスキルや知識を維持していたかが重視されます。
育児の合間にも業界情報を収集していたなど、再就職後もスムーズに業務に復帰できる姿勢を示すことが重要です。
建築士としてブランクがあるときの履歴書の書き方

ブランクがある場合の履歴書では、空白をそのままにせず、理由とその間の取り組みを簡潔に記載することがポイントです。
例えば、資格取得のための空白期間だった場合の履歴書の書き方の例は、下記のとおりです。
年 | 月 | 職歴 |
平成30 | 4 | 〇〇株式会社 設計部 入社 |
令和5 | 6 | 一身上の都合により退職 |
一級建築士資格取得のため | ||
以上 |
出産や育児の場合の書き方は、下記のとおりです。
年 | 月 | 職歴 |
平成30 | 4 | 〇〇株式会社 設計部 入社 |
令和5 | 6 | 一身上の都合により退職(出産・育児のため) |
現在は保育園に通園しているため、業務に支障はありません | ||
以上 |
資格取得やスキル維持のための勉強会、セミナー参加などがあれば積極的に記載しておくのも方法の1つです。
空白期間が長い場合ほど、再就職への意欲と準備の姿勢を具体的に伝えることが信頼につながります。
なお、志望動機の書き方は、こちらの記事も参考にご覧ください。

ブランクのある建築士が再就職するときの面接対策4つ

ブランクがある場合で再就職を目指す場合には、面接対策として以下の4つを行ってみましょう。
1.これまでの実績や経験を洗い出す
2.離職していた期間の説明ができるようにしておく
3.働く意欲があることを伝える
4.即戦力となるスキルや経験があることを伝える
1.これまでの実績や経験を洗い出す

面接では、ブランクの有無よりも「これまで何をしてきたか」が重視されます。
設計、確認申請、積算など、関わった業務を具体的に整理しましょう。
担当した案件の規模や構造、使用ソフト、得意な分野などを明確にしておくと、説得力のある自己PRにつながります。
特に数年ブランクがある場合は、直近の実績だけでなく、どのような現場でどんな役割を果たしていたのかを丁寧に振り返ることが大切です。
2.離職していた期間の説明ができるようにしておく

面接では高い確率でブランク期間について聞かれます。
家族の事情、出産・育児、資格取得の勉強、体調の回復など、理由はさまざまあると思いますが、正直に、かつ前向きに説明できるよう準備しましょう。
また、その期間中にどのような学びや気づきがあったのかも伝えると、評価されやすくなります。
業界の動向をチェックしていた、建築関連のソフトを自主的に学んでいたなどの取り組みがあれば、積極的にアピールしましょう。
3.働く意欲があることを伝える

ブランクがあると、「モチベーションが下がっているのでは?」と懸念されることがあります。
そのため、再就職への意欲を具体的に伝えることが重要です。
働く意欲を伝えられるフレーズには、下記の例があります。
自分の言葉で、しっかり想いを伝えるのがポイントです。
その上で「〇月からすぐに勤務可能です」といった前向きな姿勢を示すと、企業側に安心感を与えることができます。
また、復帰するタイミングを考えている場合には、以下の記事も参考にご覧ください。

4.即戦力となるスキルや経験があることを伝える
建築業界では即戦力が求められる傾向が強いため、ブランクがあっても「今すぐ活かせるスキル」をアピールすることが大切です。
応募先の企業で発揮できる自分のスキルを、具体的に示しましょう。
ブランクのある建築士が再就職する前の準備

ブランクがある場合には、どのような準備をしておけば良いのでしょうか。
ここでは、再就職するための準備を詳しく解説します。。
建築業界の最新動向を把握する
ブランクのある建築士が再就職を目指すなら、まず建築業界の最新動向を把握しておくことが大切です。
建築基準法の改正や省エネ基準の強化、BIMなどの新技術導入など、業界は常に進化しています。
実務にすぐに馴染めるように「どのような法改正があったか」は再就職活動を始める前に押さえておくことをおすすめします。
業界誌や建築系ニュースサイトを活用して情報収集をしておきましょう。
また、面接では「最近の動きも理解している」という姿勢を見せることで、即戦力としての印象を強められます。
企業を選ぶポイントと働き方を検討する
ブランクのある建築士が再就職を目指す際は、自分に合った働き方と企業選びを見直すことが重要です。
フルタイム勤務が難しい場合は、時短勤務や柔軟な働き方に対応している企業を選ぶと無理なく復職しやすくなります。
また、設計中心の職場か、打ち合わせはどの程度あるかなど、これまでの経験や得意分野を活かせる職場かどうかもチェックポイントです。
給与などの条件面だけでなく、自分のライフスタイルと仕事のバランスが取れる環境を選ぶことが再スタートの成功につながります。
場合によっては、他業種を検討することもあるでしょう。建築士が検討したい他の業種については、以下の記事で詳しく解説しています。

仕事に復帰するマインドセットをする

ブランクのある建築士が再就職を目指す際には、まず「仕事に復帰する」というマインドセットを整えることが大切です。
長く現場を離れていた場合、不安や自信のなさを感じるのは自然なことです。
これまでの経験やスキルを改めて見直し、自分にできることを整理することで前向きな気持ちが生まれます。
また、業界の変化を学び直すことで「まだやれる」という実感が得られ、再就職への意欲にもつながります。
気持ちの切り替えをしてみましょう。
まとめ

ブランクがあると再就職への不安は大きくなりがちですが、建築士としての経験やスキルを正しく伝えることで、十分に採用のチャンスはあります。
大切なのは、これまでの実績や離職期間の過ごし方を整理し、再び働く意欲や即戦力となる力をしっかりアピールすることです。
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