女性建築士の働き方とは!強みや弱みを活かしながら仕事を続ける方法
建築の仕事って、結婚・妊娠・出産を経ながら仕事は続けられるのかな。。。
周りの先輩や後輩は、ほとんどが男性社員だという女性建築士は少なくありません。
せっかく建築の仕事をしているのだから、できれば仕事は長く続けていきたいと思う人も多いはず。
けれど、身近にロールモデルがいないと、結婚後や子育てと両立しながら働いている自分が、いまいち想像できないという方も多いかもしれません。
女性が建築業界で働き続けるには、他の業界で職場を探すのとは違った視点を持つことが大切です。
そこで、本記事では、女性建築士ならではの強み・弱み、女性が建築士として働き続けていくための方法を紹介します。
ワークライフバランスを重視して、ハウスメーカーから設備設計に転職した私が解説します!
- 女性建築士の割合と年収
- 女性建築士の強みと弱み
- 女性建築士が働きやすい会社の特徴
女性建築士の割合と年収
そもそも肌感覚として、職場に女性が少ないと思ったことはありませんか。
まずは、女性建築士が全体で何割いるのか、年収はいくらなのかをみていきましょう。
- 女性建築士の割合
- 女性建築士の年収
それぞれ、解説していきます。
女性建築士の割合は全体の4割
建築技術教育普及センターが公表している建築士試験の合格者の女性の割合によると、女性の建築士試験の合格者の割合は、二級で全体の4割、一級になると3割と下がります。
実際に私が経験したことがある職場も、男女比はこんなかんじです。
資格の種類 | 合格者の女性の割合 | 人数 |
---|---|---|
1級建築士 | 30.8% | 約1,013人 |
2級建築士 | 39.0% | 約1,844人 |
※製図試験の合格者を参照
※人数は全体の合格者数から割合で算出
男性が活躍しているイメージを持たれることが多い建築士ですが、毎年、2,000人近くの女性建築士が誕生していることがわかります。
ハウスメーカーでは、インテリア課やリフォーム課に、インテリアコーディネーターやCADオペレーターに女性はいるものの、設計は一握り、といったことも多いかもしれませんね。
女性建築士の年収
建築士は、男女で年収の差があるのかもチェックしてみましょう。
20代では男女差はほとんど見られませんが、30代になると126万円、40代では160万円と年齢とともに差が広がっていることがわかります。
女性建築士の場合、結婚や出産といったライフステージの変化が働き方に影響を与えていることがわかりますね。
ただし、建築士の年収は職種や勤務先の企業規模によっても変わることも理解しておきたいものです。
しかし、国税庁のデータによると、女性全体の平均給与は30代で383万円に対し、女性建築士の平均給与は447万円です。
64万円もの差があり、女性建築士の給与は平均を上回っていることがわかります。
頑張って資格を取ったことが、給与にも反映されているんですね!
建築士の年収についてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事もぜひご覧ください。
参照:平均給与|国税庁
女性建築士は結婚・妊娠・出産を経ながら働けるのか
男性社会の印象を持たれやすい建設業界ですが、業界全体としては、ライフステージに合った働き方ができる環境になりつつあります。
令和元年の国土交通省のデータによると、建設業の会社の63.6%が、「女性躍進推進の取り組みを行っている」と回答しています。
例えば、実施報告があるのは、以下のような取り組みです。
- 積極的に女性を採用している
- 産休・育児休業制度を拡充している
- 会社案内やホームページで、社内で活躍する女性社員を紹介する
建設業界も、女性建築士が働きやすい環境にシフトしはじめていることが窺えます。
私が実施設計で働いていた頃と比べると、在宅勤務がしやすくなっています!!
しかし、ライフステージを経ながら働き続けられるかは職場環境に大きく左右されるため、転職するときには見極めが重要です!!
出典:建設業における女性活躍推進に関する取り組み実態調査 調査報告 令和元年 11 月 国 土 交 通 省
女性建築士が働きやすい会社の特徴
女性建築士が長く働き続けられるかは、会社の取り組みや体制にも大きく左右されます。
もし、建築の仕事を続けたいと考えているなら、転職前のリサーチは欠かせません。
女性が働きやすい会社の特徴には、以下の3つがあります。
- 働き続けやすい制度が整っている
- チームプレイが主体になっている
- 女性の管理職がいる
それぞれ、詳しく解説します。
働き続けやすい制度や取り組みが整っている
働き続けやすい制度を採用している会社では、働く時間や場所に囚われず、柔軟な働き方ができるのが特徴です。
- 産休・育休制度
- 時短制度
- リモートワーク制度
- フレックスタイム制度
このような制度が整っている場合、保育園の送迎や子どものイベントに合わせて仕事のスケジュールを調整できるので、家庭と仕事の両立がしやすくなります。
子育てをしていると、急な呼び出しなどで時間の調整が必要になるシーンも少なくありません。
もし、募集時の情報でよくわからない場合は、以下のような方法で調べることができます。
- 転職エージェントに聞く
- 面接で直接聞く
なお、ハウスメーカーやゼネコンなど、複数の部署があるような部署では、設計部以外の産休・育休の取得実績が書かれている可能性があります。
「女性の建築士の育休取得実績はありますか?」と、具体的に聞いてみましょう!
私が2社目に勤務した設備設計の会社は、子育てと仕事を両立しやすい環境が整っていました。
2回の産休を経て復帰しながら長く働き続けられたのも、きちんと制度が整っていて職場の方の理解があったからです。
入社後に「こんなはずじゃなかった」と落胆しないためにも、転職前のリサーチは重要です!
チームプレイが主体になっている
女性が働きやすい職場環境を提供している会社は、チームでの協力を重視していることが多いです。
人に仕事を引き継ぎたいと考えても、スムーズに対応できないケースも少なくありません。
しかし、仕事が標準化され、チーム体制が整っている会社であれば、突発的に休んでも、周りの人がサポートしてくれます。
特に、建築業界の場合、請け負っている建物の種類や工事の性質にもよるため、見極めが重要です。
私の場合、ハウスメーカーから設備設計に転職したため、1人で担う設計からチームで進める設計に変わりました。
住宅とは違って、店舗の設備設計は設計期間が長いため、1.2日くらい子どもの風邪で休んでも、出社してからカバーできたのも大きな違いです。
反対に「あなたが休むことで他のメンバーに迷惑がかかっている」といった言い方をする職場は、要注意です。
女性の管理職がいる
管理職に女性が多くいる企業は、性別に関係なく業績に応じた評価が公平に行われている職場である可能性が高いです。
さらに、育児を経験した女性管理職がいる場合は、産休や育休を経てもキャリアを重ねられる環境にあることがわかります。
私は残念ながらそういった職場には巡り会えませんでしたが、女性建築士が働いているゼネコンや工務店、住宅会社は多数あります。
女性管理職がいる会社であれば、良いロールモデルとなりますし、昇進を目指す女性にとっては、励みとなるはずです。
女性建築士が転職するなら登録したいエージェント
女性建築士がワークライフバランスを重視しながら働き続けるには、転職エージェントを活用するのも方法の1つです。
転職エージェントは、その企業が産休・育休制度など、どのような取り組みをしているかの情報を持っている可能性があるためです。
ここでは、女性建築士におすすめの転職エージェントを3つ紹介します。
建築業界特化型「建築転職」
建築転職は、建築業界に特化した転職エージェントです。
建築業界の中でも、住宅のリフォームやCADオペレーター、住宅の営業など、女性が活躍している職種は多数あります。
建築転職では、興味のある職種から求人情報を探せるのが特徴です。
一般的な求人サイトにはない非公開求人も多数扱っているため、条件のよい会社を紹介してくれる可能性がありますよ。
正社員での転職を目指すなら「パソナキャリア」
これまでの実務経験を活かして役職付きのポジションを目指したい、建築士資格があるから、収入の高い職場に転職したいという方には、パソナキャリアをおすすめします。
パソナキャリアは、年収800万円以上のハイクラス求人が多いことが強みです。
今の職場からステップアップしたいというときにも、ぜひ登録して求人案件に目を通してみてください。
案件数が豊富な「リクルートエージェント」
業界特化の転職エージェントではありませんが、リクルートエージェントは掲載されている求人情報が多いという特徴があります。
建築・土木・設備に絞ると、49,961件(*1)もの案件があります。
女性建築士は、業務内容働きやすさや福利厚生、勤務地などさまざまな条件から、自分にあった会社を選びたいもの。
検討できる企業の母数が多ければ、細かい条件も比較検討しながら転職活動を進められるはずです。
非公開求人数も多いリクルートエージェントの求人情報は目を通してみるべきです。
※1 2024年9月時点
女性建築士ならではの強み
女性建築士ならではの強みってなにがある?
女性であることが不利だって感じることもあるけど。。。
という方もいると思います。ここからは、女性建築士ならではの強みを紹介します。
- 細やかな設計の提案ができる
- 女性がターゲットの店舗設計で力を発揮できる
詳しくみてみましょう。
細やかな設計の提案ができる
女性建築士は女性だからこそ、施主の意図を上手にくみ取り、設計に反映させられる強みがあります。
例えば、住宅であれば居心地のいいリビングや、暮らしやすい動線といった言語化しにくい間取りの設計も、感覚が掴みやすいと言えます。
また、女性の依頼者が男性建築士との打ち合わせでは相談しづらい部分でも、同性だからこそ細かな相談や悩みを一緒に考え、女性建築士ならではの丁寧な提案ができるはずです。
私もハウスメーカーでお客様の打ち合わせに入っているときに、奥さまの言いたいことがよくわかると思ったことがあります。
住宅の設計では、女性であることは強みになります。
女性がターゲットの店舗設計で力を発揮できる
女性建築士として力を発揮できるのは、ターゲット層が女性の店舗を設計するケースです。
女性向けの施設は、女性のほうが自分も使うことを想定して設計できるため、細やかな気配りを発揮できます。
例えば、更衣室や女性トイレへの動線や、授乳室の位置など、女性ならではの気配りや要望のイメージが浮かびやすいのも強みです。
コスメ専門店や美容室、女性専用のフィットネスクラブなど、女性の気持ちがわかる建築士が求められている店舗はたくさんありますね。
男性建築士では気づかない細かな部分や工夫を、女性目線で設計や提案ができることもありますよ。
女性建築士ならではの弱み
反対に女性建築士としての弱みやデメリットも認識しておくことが大切です。
ここからは女性建築士ならではの以下の弱みについて解説します。
- 体力・精神面で厳しさを覚えることがある
- 現場の男性とのやりとりで苦労する
詳しくみていきましょう。
体力・精神面で厳しさを覚えることがある
建築士は納期などに追われると、残業などで勤務時間が長期になることがあります。
実施設計などで工事中の現場を担当していると、夜遅くまで仕事が残るケースも少なくありません。
女性建築士は男性に比べて体力的な部分で、負担を大きく感じることもあるでしょう。
大規模な店舗設計などに携わっていると、一つの仕事を終わらせるまで長期間かかることもありますね。
遅くまで仕事をする期間が長期化すると、厳しさを感じる方もいるはずです。
現場の男性とのやりとりで苦労する
建築士は性別問わず、現場で工事監理をする必要が出てきます。
建築現場は男性が多いため、年上の男性に指示を出すということに抵抗がある女性もいると思います。
私も20代の頃に、現場で職人さんに高圧的な態度をとられた経験があります。
経験が浅いから仕方がないとは思っていたけれど、私が女性だからというのも原因の1つでした。。
ある程度、精神的にもタフでなければ女性建築士を続けるのは難しいかもしれません。
女性建築士の働き方まとめ
この記事では、女性建築士の割合や働き方、強みや弱み、働きやすさを重視したときの転職時のチェックポイントを紹介しました。
- 産休・育休制度の有無と取得実績を確認する
- チームで仕事を進める体制が整っているかを確認する
- 女性の管理職がいるかを確認する
ただ昇進を目指すだけでなくワークライフバランスを重視した働き方を目指すには、転職も方法の1つです。
ぜひ、いろいろな企業の取り組みや募集要項をみて、自分にあった働き方をみつけてみてください。